古いサーバーを仮想化

S社様
業種：包装資材製造・販売
従業員数：20名
サーバー：2台
クライアント：約20台

今回は、
「システムの関係でサポート切れの古いサーバーOSを使い続ける必要があるが…。」
というお客様からのご相談です。

先に結論を申しますと、サポート切れOSの継続利用は
セキュリティ的見地から「しないでください」となります。

弊社としても危ない橋は渡れませんし
お客様にそのリスクを負っていただくのも本意ではありませんので
このようなご相談は通常、お受けいたしません。
おそらくほとんどの業者がそうだと思います。

とは言えそのリスクや負担を天秤にかけても尚、
お客様でその選択をするというケースも稀にありまして
「やってみますが、もし失敗しても、何かあっても、弊社で責任は取れません。」
などなど、いつもより厳しめの条件をしっかりお客様にご了承いただいた上で
今回、その稀なケースを対応いたしました。

S社様では、10年くらい前にとある販売システムをカスタマイズして購入されサーバーに導入、
現在そのサーバーOSは当然サポートが切れ、
最近、ハードウェアとしても空冷ファンから異音を発するようになって
いよいよ寿命が近いという状況でした。

本来であればサーバーをリプレイスして
システムも最新OSに引き継ぐ形で移行したいですよね。

お客様でも販売システムのメーカー様へそのようにお問い合わせされたところ、
メーカー様では既にその事業からは撤退していて
メンテナンスのみかろうじて継続している状況。
開発はとっくに中止しているので最新OSへの移行なんてとてもとても…
とのお返事でした。

S社様はそれではと、別の販売システムに変更することにしましたが、
これから検討を始めるわけですから
導入・稼働まであと1～2年はかかるということが分かりました。

そんなやり取りをしている間もずっとサーバーからは異音が聞こえるわけで、
このままあと1～2年なんて、とてもとても…
ほとほとお困りになったお客様は
ダメ元でサーバーの購入元へご相談され、弊社をご紹介いただいたという次第です。

だいたいの事情は分かりました。
本来でしたら…のお話しや、この記事の冒頭のお話しを一応、一通りさせていただきまして
お客様もその点は重々ご承知でした。
またシステムメーカー様でメンテナンスは継続されている、という点で少し希望がありそうに見えました。

そこで、サーバーの現状を確認させていただき
お客様、販売システムメーカー様、弊社の3社で何度も打ち合わせを重ね、
今回は次期システムまでの延命対策として新サーバーを購入し
その新サーバー上に既存サーバーを仮想化して稼働させる方法で落ち着きました。

懸念点は当然いくつもあり、その割にはご負担もあるわけなのですが
お客様は全てご理解された上で
「システムを使わないわけにはいかない。このままでは半年も持たない。それよりはよほど良い。」
とご判断されました。

システムメーカー様で
「同じ既存OSへの移行なら何とかやれそうです。」
と応じていただけたのも大きかったと思います。

さて、決まれば早速進めていきます。

仮想化の際にはアクティベーションの為に既存OSのライセンスコードが必要になってきます。
お客様に導入当時の10年前の付属品を探していただいたり、
当時の設定ドキュメントが無かったためシステム情報を取得したりと、それなりに骨折りです。

機器も古くUSBの規格が2.0のため
イメージバックアップを外付けハードディスクに取得するのにも結構時間がかかりますし、
外付けハードディスクもUSB2.0規格でないとドライバーが認識してくれません。

実は1回目のバックアップは失敗していて、仮想化OSとしては稼働しませんでした。

サポート切れOSなので当然OSメーカー様は頼れません。
ですが色々と調べていくと、あるサービスが動作しているとバックアップに失敗する事例があり、
2回目のチャレンジはそのサービスを停止して実施、成功しました。

そんなこんなでようやく仮想化OSとして稼働。
あとはシステムメーカー様に作業を引き継いでいただき、システムの移行も終了、
お客様への引き渡し後、多少の微調整を経て正常稼働を確認いただき完了となりました。

ビジネス的にもその他諸々でも何かと難しい案件でしたが
システムメーカー様と、もちろんお客様のご理解・ご協力により
お蔭様で何とか乗り切ることができました。

【後日談】

既存の販売システムが使い続けられることになったので、
システムの変更はせず新サーバーの機械的寿命まで使い続ける…なんてダメですよね？
と、お客様で冗談ぽくおっしゃっていました。
お気持ちはとても理解できるのですが、
できるだけ早くの最新OSへの移行を、再度強くお勧めさせていただきました。

また、この一件でお客様で色々とお調べになったことで
社内の「実はあれもこれも良くない状況だった」との発見がたくさんあったそうで、
「順に対応していきます。何かあってからでは遅いということが良く分かりましたからね。」
ともおっしゃっていました。

現にその後、いくつかのご依頼をいただき、対応しています。

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