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2017年11月号

vol. 128

優秀なサラリーマンは海の底にいる

~30代の転職市場に「逸材」はいない。優秀なサラリーマンほど転職をしないからである~

どこの会社でも、優秀な人材、特に、30代の優秀な中堅社員を血まなこで探している。
だが、その優秀な人材は、世の「転職市場」には流通していないようだ。
優秀なサラリーマンほど、ジッと海の底に潜み、水面には上がって来ないからだ。

私も一時期、30代の、それも、脂の乗った意気のいい、優秀な若手社員をシャカリキになって探していた。
派遣会社や人材紹介会社にも依頼し、ハローワークや転職サイトにも募集を出した。
だが、こういったルートをたどり訪れた「中途入社希望者」は、ことごとく私の期待を裏切ることになった。
今、我が社に、これらのルートをたどって入った社員は、1人も残っていない。

そりゃ「キミんとこみたいな零細企業に、優秀な人など来ないでしょう」と皮肉られるかもしれない。
確かにそうだろう。大企業には日々、優秀な人材が、途中入社の門を叩きに来ているのかもしれない。
それでも私は断言する。
自分を高く売り、サラリーマンから、また別のサラリーマンに飛び移ろうとする30代の転職組に「逸材」はいないと。
私の、このとんでもない「偏見」は、私が起業してから、しみじみと、しみじみと実感した「世の摂理」の1つである。

私は、あるとき、ウチを訪ねてくる30代のサラリーマン転職組に、ある共通点を見つけた。
彼らは決まってこう言うのだ。
「前の会社では、私のしたい仕事をさせてくれませんでした」
「前の会社では、やりがいを得られませんでした」
「前の会社では、私は正しく評価されませんでした」と。

彼らの表現はバラバラだが、彼らは異口同音に「前の会社への不平や不満」を腹に溜めていた。
だから飛び出してきたのだろう。

それらの不平や不満は、ときに、正しいのかもしれない。
だがこの人たちは、常に悪いのは「自分以外」であり、自分は何も悪くないと思っている人たちなのである。

彼らは総じて、何か不遇に出くわせば、それを他人のせいにする人たちであり、
彼らは総じて、自分を過大評価し、自分は高く売れるはずだと勘違いをしている人たちなのである。

だが、ホントに優秀な人とは、
それらの不遇は、まずは自らが至らぬからだと捉え、その不遇を、自らが打開しようとする人であるはずだ。
しかし世の中には、それに気付かず、死ぬまで「流転」を繰り返す人がいる。
そんな人は、多分、どこに行っても「日の目」を見ることなどないだろう。
またそぞろ「ヒドい会社だった」とウソぶき、次の「自分を正しく評価してくれる会社」に移ろうとするのだ。

では、30代の若手の、ホントに優秀な人材は、いったいどこにいるのだろうか。
答えは明快だ。
海の底深く、つまり「会社の奥深いところ」に潜んでいるのである。
優秀な人材ほど、最初に勤めた会社を、簡単には辞めないのだ。

ある大手の人材紹介会社の営業マンが、こう言っていた。
30代の優秀な人材は、
「簡単に文句を言わないんです。最初に勤めた会社で辛抱のできるヤツが多いんです」
「自分の不遇を、人のせいにしないんです。だから目の前の不遇は自分で解決しようとするんです」
「会社への『愛』を持っているんです。自分よりまず会社。滅私奉公が彼らのポリシーなんです」
「バクチを嫌うんです。人生の『波乱万丈』などを安易に求めないんです」と。

そうなのだ。優秀な魚(人材)は、海の底(会社の奥深いところ)に潜んだまま、
長い釣り糸さえ届かぬ深海で、企業の中枢たるポジションに次々と収まって行く。
一方、優秀でない魚(雑魚?)は、安易な転職を狙い、いとも簡単に海面近くまで上がって来て、
そして、一本釣りのできる「転職市場」に、頻繁に顔を出すというワケだ。
やんぬるかな。これでは優秀な人材との邂逅など、到底望むべくもない。

ただし、その深海にいる優秀な魚も、ときにフッと、水面に現れることもあるようだ。
男性なら、会社が傾いたり、ブラック企業で5年ほども我慢した人や、家族との暮らしを選んだ単身赴任者などなどだ。
女性なら、結婚や出産、夫の転勤や親の介護、それら家庭の事情で、泣く泣く会社を辞めざるを得なかった人たちだ。
つまり「辞めたくないのに、辞めざるを得ない状況に遭遇してしまった人たち」である。

だが、そんな状況に遭遇している人材を、ハローワークで検索することなど不可能だ。
やはり大企業のように、多くの新卒を雇い、その中にいる僅かな「逸材」を見つけ出すのが正道であり、
我々零細企業では、せいぜい「誰かいい人いたら紹介してよ」と、いつも周りに頼んでおくしか手はないだろう。

と言うことで、今回の結論は「転職市場に逸材なし」であり、
もしアナタが、30代のサラリーマンの優秀な転職者に期待などしていれば、「ムダですよ」を助言したい。
自分を高く売ろうとするサラリーマン転職組に、要は「ロクなヤツなどおらん」ということだ。
いやはや、何とも悲しい結論である。

さて今回、実はここから、痛快なる「余談」を書いてみたい。
優秀な人材が「海の底」にいるとするならば、その優秀な人を探しに、「海の底」に行く手はないだろうか。
ただし「海の底」とは「人様の会社の中枢」などではない。
そこは、普通の街の中に存在する「海の底」である。

私はある日、街のコンビニやスーパー、居酒屋でアルバイトをしている30代ほどの若い人の中に、
「おいおい、こいつ、ムチャクチャ優秀やん…」と、ビビッと直感する人に出くわすことがあるのだ。
これは私にとって、目からウロコの「大発見」だった。

例えばコンビニなら、「あ、この商品、少し汚れてますね。交換してきます」と、
とにかくお客様を「喜ばせたい」と、マニュアル以上に一生懸命に働くアルバイト店員さんがいたりするものだ。
そんな彼らは、誰のためでもない。自分のためにそういう行動をするのだ。

例えばスーパーなら、「今日はあったかいお鍋ですね」の一言で、単身赴任の心を癒してくれるレジの主婦がいる。
そんな笑顔を見せたって、正社員になれるはずもないのに、
そんな彼女らも、誰のためでもない。お客様をホッコリさせる心根で仕事をしている。

例えば居酒屋なら、「奥の静かな席が空きそうです。移動されます?」なんて声をかけてくれたりすることがある。
そんな声かけをして、バイト代が上がるワケでもないのだが、
そんな彼らも、誰のためでもない。ごく自然にそういう心配りができるのだ。

私はそんな彼ら(彼女ら)に出会うと、思わず「あのぉー。ウチで働きません?」と言いたくなるのだ。
彼らは、何らかの事情で、今はアルバイトという、社会的に不安定な場(=海の底)に身を置いているのだろう。
そう、私は、見つけたのである。
彼らも、実は、ジッと海の底で潜んでいる「逸材」であることを。

今はまだ、その彼らに実際に声をかけたことはない。
だが近い将来、私はそんな彼らに、必ず声をかけるだろうと思っている。
「転職市場」ではあり得ない、究極の一本釣りである。

サラリーマンだけじゃなかったのだ。
やはり優秀な人材は「海の底」にいる。

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