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2014年5月号

vol. 086

トンネル4丁目

~進めないし戻れない。このどっちにも行けない状態ほどシンドいものはない~

出口はまだまだ先にある。だが入口にも戻れない。
逃げ道は完全になくなった。後悔だけが心に湧いてくる。
私はそんな状態を「トンネル4丁目」と呼んでいる。

例えばこんな話だ。

お客様のシステムを入れ替えることになった。
当初、これは難しい作業になると想像し、
依頼を断ろうかと思った。
だが、ここまで順調に進んでいる。
大丈夫だと腹をくくり、入れ替えを引き受けることにした。

だが入替の数日後、新システムが突如ダウンした。
大パニックが起こる。
夜を徹して原因を探るが、解決の糸口さえ見当たらない。
お客様はすでに怒り心頭である。

ウチのトップが呼び出された。頭を下げにきたのだ。
損害賠償の話も出始めた。
私は現場の責任者。「どうしてくれるの」と何人もが迫ってくる。
旧システムに戻せば何とかなるはずだが、もう戻れない。
立ちすくんだ。修羅場だ。

ここはトンネルの入口から4割ほど進んだところ。
こここそが、入口にも戻れない、出口にも進めない場所なのだ。
私はこの場所を「トンネル4丁目」と呼ぶようになった。
これを読む多くの諸兄も、
同じような修羅場を経験された方は多いのでなかろうか。

「もういい、外れてくれ」と言われたらどれだけ楽だろう。
だが、そんな甘い言葉は吐いてはくれない。
お客は「それで?どうするんですか?」と抑揚もなく問うてくる。
絶対に逃がしてくれない。
平穏で、何ごともなく生活していた日を羨ましく思い出す。
これが「トンネル4丁目」である。

ある有名企業のCEOとなった方の、若い頃のエピソードだが、
会社を立ち上げてまだ間もない頃、
やっとの思いで、念願だったビッグビジネスを受注した。

「これは何としてもやり遂げなければならない」
高揚した気持ちで、出張先から深夜、事務所に辿りついたら、
机の上に、山盛りの封筒が置いてある。
「何だこれ…」と手に取るが、しばらく何が起こったのか分からない。
すべて「退職届け」だった。
10名いた社員全員が造反したのだ。
一斉に「辞めた」のである。

やっと決めてきたビッグビジネスだ。
だが、これを誰がやる?
振り向いたら誰もいなかった、なんて冗談にもほどがある。
今さらお客様に「できません」とは言えない。
明日から始めないと間に合わない。
だが誰もいない。立ちすくむだけ。
これが「トンネル4丁目」である。

そのCEOはこう回顧する。
「長年、色んな苦境も経験し、トラブルも日常だったが、
あの出張から帰った時の、あの瞬間が、生涯で一番キツかった」と。
そして、その仕事をやり遂げたとき、
CEOは辺り構わず、ボロボロと泣いたそうである。

「7つの正常な仕事は、たった1つのトラブルでフイになる」
という教えがある。
仕事は、順調で安全で、スンナリと終わるものばかりではない。
必ずや1年に1度は「ドロ沼」に足を取られるものだ。
だから、それをいかにゼロに近づけるか、
それをいかに軽症で済ませるか、これが経営者に求められる力量だ。

当然、トンネル4丁目にならないよう、
「無謀なチャンレジをしなければいい」と思うかもしれないが、
実はそうではない。
自分の背丈に合わない仕事を引き受ける「ムチャ」が
修羅場を招いているというよりも、
「行ける」とスっとトンネルに入っていった仕事にこそ、
大きな「落とし穴」が待っているのだ。

実に感覚的な基準だが、
ムリをして取った仕事は、トンネルの1丁目で気づくことが多い。
これは詫びて、恥をかいて、入口に戻れば済む。
だが何ごともなく、
スルリと4丁目まで進んだ時に起こるトラブルは、
もう逃げられない「修羅場」を生み出すのだ。

私のビジネスの鉄則は、これまでのつたない経験から、
いかに仕事の入口で、そのキナ臭い火種を看破できるか、である。
小さな会社ゆえ、1つのトラブルが、
他の正常な仕事を吹き飛ばしてしまってはもう助からない。

今日もいくつか「トンネル4丁目」を過ぎてきた。
だが、怖くて怖くて、
その瞬間だけは目をつぶるのである。

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 社長 谷洋の独り言ブログ