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2013年7月号

vol. 076

再びタコマナローズ橋

~失敗は成功の元。だが失敗した者に簡単にチャンスなどやって来ない~

大きなプロジェクトを任せた部下が大失敗を犯した。
あなたは、その大きなプロジェクトの「やり直し」に、
その部下を再び指名することができるだろうか。

米国ワシントン州のタコマに「タコマナローズ橋」というつり橋がある。
今、かかっているのは二代目だ。
初代は、完成後、わずか4ヶ月で崩落事故を起こしている。
このつり橋は、世界の土木技術の、特に架橋技術に、
大きな「技術革新」を残したつり橋なのである。

1940年、タコマに念願のつり橋が完成した。
だがこの橋、わずか19m/秒の横風のために崩壊事故を起こす。
幸い、人命の損傷はなかったが、
世界最大のつり橋が、わずかな風に揺らされて崩落したことに、
世界の土木技術者が腰を抜かしたのである。
崩落の原因は、橋の「共鳴振動」だった。

どんな物体にも固有の振動数があるらしい。
その「固有振動数」さえ分かれば、どんな重い物体であっても、
ごくごく小さな力で、その物体を大きく揺らすことができる。

例えば、何十万トンの船であっても、人差し指一本で、
ある一定のリズムで船の横っ腹を押し続ければ、
その船は、ユッサユッサと揺れ始め、
しまいには横転させられてしまうらしい。

タコマ橋の崩落事故は、人類史上初めての「共鳴振動事故」であり、
この事故によって、
人類はかけがえのない技術ノウハウを得たわけだ。
そして、その後の橋梁工事の教訓と言われた。

だが、私がここで言いたいのは、その革新技術のことではない。
このタコマ橋の教訓を報じた新聞の片隅に、
もう一つ、世界が驚いたある記事が掲載されていたのだ。
それは、崩壊した初代タコマ橋の工事を引き受けた建設会社が、
なんと再び、二代目のタコマ橋の工事会社に指名されたのだ。

あり得るのだろうか。
失敗をした企業が、再び指名されたのだ。

橋を発注した側の「タコマ市」には何の落ち度もない。
失敗を犯したのは橋を作った建設会社である。
その建設会社に、再び、橋の建設を託したのだ。
これはスゴい。

客観的に失敗の本質を捉え、それを「人」には求めない。
罪を憎んで人を憎まずの典型なのだろう。
「失敗の理由を一番知っているのはその建設会社だ」
そう言い切ったのだ。

再び指名を請けた建設会社もスゴい。
それを認めた市民もスゴい。
でも、再び指名をした「タコマ市」がスゴ過ぎる。
腹が据わってる。

日本ではまずあり得ない。
ミスには、どうしても「責任者の更迭」が伴う。
事態の収束には「責任者が辞める」は必須条件であり、
一度ミスをした企業に、再びの発注など言語道断だ。
まずはキャストを代える。
これが日本式の「最善」なのだ。

欧米人は元来が合理的なのだろう。
キャメロン首相も、オバマ大統領も、メルケル首相も、
簡単には辞めないし、辞めさせられない。
どこかの国の総理大臣とは大違いだ。
欧米人は、目の前の課題をこなせる適任者を、
例えそれが「前科者」であっても、
平然と指名することができるのだ。

さてさて、私は過去に、ビジネスで大きな失敗を犯した前科者だ。
むろん、失敗の原因は、誰よりも知っている。
だが「もう再起のチャンスは来ない」とあきらめた。
そして隠遁生活を送ることにした。
これが日本の作法だ。
私も順繰りで、チャンスをもらっていたのだ。
あきらめるしかない。

だが私は、命の恩人に「いいから穴に入ってろ」と言われ、
しばらく「冷やメシ」を食っていた。
そして世間が私の失敗を忘れかけ、
「もう許してやれよ」といった同情の声が出始めた時、
私は、再び「タコマナローズ橋」を任されたのだった。

奇跡だったろう。
この時の「命の恩人」がいなければ、私に「再び」などなかった。
二度と、太陽は見れなかったはずだ。

さあ、あなたの近くに、もし、チャレンジに失敗し、
「冷やメシ」を食ってる男がいたら、
そいつにもう一度、「再び」を与えてあげて欲しい。

何もせずに、失敗さえしない男と比べようもない。
その冷やメシ男は、
失敗の理由を、誰よりもよく知っているのだ。
隠遁させてる場合ではない。

再びのタコマナローズ橋。
これは託す側の勇気の証なのである。

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