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2010年4月号

vol. 037

サクラセンサー

~孤高のサクラ、その開花センサーを若い人たちの心の中に見つけたい~

新しい門出を迎える時、そこには必ずサクラが咲いている。
卒業式や入学式、旅立ちには欠かせないサクラ。
私は、このサクラの「開花センサー」が気になって仕方がない。

はかなくも美しく散ってゆくサクラの花に、
人生を重ね合わせ、そのはかなさゆえに心打たれる日本人は多い。
あまりにも短い満開期を、人生とダブらせるのだ。
日本人が愛でてやまない花、それがサクラなのだ。

だがそのサクラに不思議を感じた方はいないだろうか。

なぜサクラは毎年、忘れずに花を咲かせるのだろうか?
この哲学的なテーマは、よく耳にする。

多くの人が、人生の岐路を迎える春に、
サクラは、必ずそこに寄り添うように咲いている。
世俗にまみれ、邪心だらけの人間が、
邪心なく、季節の巡りだけで無心に開花するサクラに、
自分の人生を投影し、擬人化し、
自らを見つめ直すようにと、こんなテーマが語られるのだ。

不思議である。
なぜ、サクラは一斉に花を咲かせるのだろうか?

例えば、サクラ一本一本に個性があって、
隣のサクラは晩生で、一本だけ10日も遅れて花を咲かせた、
なんて話は聞いたことがない。

サクラは隣同士で、
「おい、明日ぐらいに開花しようか」
なんて情報交換するハズもない。
もしサクラがしゃべったら、
東京千鳥ヶ淵などやかましくて歩けない。

「隣が咲きそうだ…」と、
周りの様子を見て、自分も慌てて開花準備をするハズもない。
サクラに目があったなら、
気持ち悪くて夜ザクラ溢れる大阪造幣局など歩けない。

隣同士のサクラは、
隣に仲間が植わっていることさえ知らぬはずだ(と思うんだが…)。
だが、公園にある100本のサクラは、
まるで示し合わせたように一斉に開花するのだ。
こんな不思議が許されるのだろうか…。

サクラには「センサー」があると言われている。
(科学的根拠はまったくない)

サクラには「休眠物質」という酵素があるらしい。
これが開花センサーの役割を果たしていると言う。

「休眠物質」とはサクラの開花を抑制する物質で、
サクラは春から夏にかけ、
この「休眠物質」をせっせと貯め込んでいく。

そして、冬の寒さがスイッチとなり、
今度は「休眠物質」を徐々に削っていくらしい。
そして春、ついに「休眠物質」がなくなった瞬間、
サクラが開花するという仕組みだ。

だがなぜ、一斉に開花するのかが分からない。
貯め込む「休眠物質」の量は、サクラごとに違いもあるだろう。
「休眠物質」を減らす速度もサクラごとに違うだろう。

そのメカニズムは誰も説明できないのだ。
だが、その不思議の解明など、
どうでもいいのかもしれない。

私は、人間にも漏れなく「開花期」があると思っている。
人の一生に、それが何度あるのかは分からない。
どんな花が咲くのかも分からない。
だが「開花期」は総ての人に平等に訪れるものだと思ってる。

私には一人娘がいるのだが、
娘が生まれた時、
妻とこの「サクラセンサー」の話をしたことがある。
「この子のサクラセンサーを見届けたい」
と二人、希望に胸を膨らませたものだ。

それは会社を立ち上げ、社員を持った時も同じだった。
若い人たちそれぞれが、
どんな「サクラセンサー」を作動させていくのかを、
凝視する日々が始まったのだ。

冬を越えねば咲かないサクラなら、
「冬来たりなば春遠からじ」の格言のごとく、
逆境を乗り越えれば必ず開花するはずの人間も、
「サクラセンサー」を持っているに違いないのだ。

サクラは一斉に咲く。

誰の目を気にすることもなく、
誰の声に惑わされることもなく、
誰の号令を待つ訳でもなく、
自ら決めた「開花期」を迎えるのだ。

もし貴方の近くに若い方がいるならば、
その「サクラセンサー」がちゃんと"時"を刻んでいるのかを、
見守ってあげて欲しい。

無心に花を咲かせるサクラが美しいのは、
そのはかなさだけではないだろう。
寒い冬に、昏々と開花の力を蓄えるサクラに、
人生を送っていく上での、
何かの希望をもらえるからなのだ。

今年も春がやってきた。
サクラはいよいよ開花期を迎える。

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 社長 谷洋の独り言ブログ 日々是好日