103回目の夏
2018年9月。
「創業者、谷洋の独り言ブログ」が突然の終焉を迎えました。
早いものであれから3年の月日が経とうとしております。
今回はその終焉直前の2018年08月の記事、『100回目の夏』について振り返ります。
ご存じの方も多いとは思いますが、谷洋(以下、谷)は
「この世で一番の楽しみ」と言い切れる程に高校野球のことを愛していました。
そんな谷は、この記事の中で、高校野球のことを
「今からどんなことが起ころうと、私の命が途切れようと、延々と続く…」
と表現しています。
恐らく、この記事を書いている時点で
自らの命はそう長くは続かないことを自覚していたのではないでしょうか。
自らの病気と闘う苦しい毎日の中で
谷は「この世で一番の楽しみ」だった高校野球に希望の光を見ていたのだと思います。
谷には一人娘がいます。
谷はこの一人娘を3歳の頃から毎年のように甲子園に連れて行きました。
そして野球のやの字も知らなかった娘が、いつの間にか高校野球の大ファンになり
今では野球無しでは生きていけない程の野球娘になっています。
そして谷には3人の孫がいます。
谷はこの孫たちを溺愛しており、生前「孫と一緒に高校野球観戦に行くことが夢」だと周囲の人間に語っていました。
その夢は叶いませんでしたが
谷の意思を受け継いだ一人娘がきっと孫たちを立派な野球小僧に育て上げることでしょう。
野球愛の遺伝子は脈々と受け継がれていくのです。
高校野球にも、代々脈々と受け継がれる伝統というものがあります。
開会式での堂々として清々しい選手宣誓、イニング間のベンチから守備位置までの全力疾走、
ハツラツとしたプレー、最後のアウトを取られる際のヘッドスライディング、全力で歌う校歌斉唱、
アルプススタンドで応援してくれた方々への感謝の挨拶、負けて泣きじゃくる姿、その選手を支えるマネージャー・・・
挙げだしたら切りがありませんが
それらは全て偉大なる先輩方から引き継がれた伝統であり、高校野球になくてはならないものばかりです。
谷を含め、多くの人々が高校野球に魅了されるのは
そういった高校球児の一つ一つの姿に感動を覚えるからだと思います。
実は私自身も高校生の頃は甲子園を目指していた野球小僧でした。
偉大な先輩方に圧倒され、自信を失いかけた1年生の春。
そこから毎日毎日厳しい練習に耐え、いつしか大好きだった野球が嫌いになりかけた時もありましたが、
指導して頂いた監督・コーチや先輩、切磋琢磨して共に戦った同級生や後輩、
陰で支えてくれたマネージャー、女手一つで支えてくれた母親の存在に助けられ、
何とか最後まで野球を続けることができました。
特に朝早くからお弁当を作ってくれた母親には本当に感謝しかありません。
ライバルに負けないようにと2年生の夏から同級生と二人で毎日朝練をするようになったのですが、
母親は毎日朝早く起きてお弁当を作ってくれました。
高校球児にとって、最後の夏の大会はそんな3年間の集大成の様な大会であり、
上記で挙げた伝統的なプレーや行動は自然と表に出るものなのかもしれません。
私の所属していた高校は残念ながら予選で敗退し、夢は叶いませんでしたが、
今年甲子園出場を決めた高校球児には、ぜひ全ての力を出し切って、
みんなが待つ地元へ深紅の優勝旗を持ち帰って頂きたいと思います。
今まで自分を支えて頂いた全ての方々に感謝して。
さて、昨年は残念ながら新型コロナウィルス感染拡大の影響で中止となってしまった高校野球ですが、
今年は何とか開催されそうです。
「102回目の夏」を目指していた高校球児たちの無念はきっと
「103回目の夏」への出場をめざす球児たちが晴らしてくれるはず。
私はこの記事を書きながら、今からワクワク感が止められていません。
さあ、1年の時空を超えて、夏の甲子園は、今年で103回目の夏を迎える。
今年はきっと熱い夏になるだろう。
選手宣誓の響きが遠くに聞こえてくる。