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2013年3月号

vol. 072

個人情報保護法がナンボのモンや

~個人情報保護法で企業が「萎縮」している。行き過ぎたコンプライアンスのツケ~

りんくる社は「個人」をお客様にはしていない。
それでも頻繁に『個人情報保護の取り組み』を問われることがある。
むろん従順を装うが、腹の中では「くだらん」と毒づいている。

さて今回は、先日、ある面白い話を手に入れたので、
それを紹介したい。
悪名高き『個人情報保護法』にまつわるエピソードである。

ある小さな会社の営業マンが「携帯電話」を落としたらしい。
電話帳には社用の名前も200人ほど入っていたらしい。
上司に報告したら「バカだねぇ」と笑われた。
だが後日、ある大手企業の担当者に、
「携帯落としたので、もう一度、携帯番号教えて下さい」
と軽くお願いしたところ、
会社同士の「大揉め事」に発展したと言うのだ。

「貴社は『個人情報保護』にどう取り組んでいるのか」
とケンカを売られ、
「え!携帯失くしただけで『個人情報保護違反』っすか?」
とトボケてみたが、
「貴社は『個人情報の管理』を軽視してる」と詰め寄られ、
「それでは取り引きは継続できません」と脅かされ、
その営業マンは最後の最後にブチ切れて、
「ああ、こっちから願い下げや」と席を立ったらしい。
なるほど。ありがちな話である。

今、町内会で名簿を作ることも難しいらしい。
大学のOB会名簿には、賛同した7割の人しか載らないらしい。
2007年に起こった「新潟県中越沖地震」では、
柏崎市が『個人情報保護法』を盾に「要援護者」の名前を、
消防に提供しなかった話は有名だ。

何なのだ。この『個人情報保護法』とは。

確かに昨今、コンピュータの発達で、
大量のデータを瞬時で持ち出すことができるようになった。
そして、瞬時で条件にマッチしたデータを絞り込み、
簡単にポスティングを印刷することができる時代だ。
個人情報の取り扱いは、
昔のようなノンキな管理ではダメなのだろう。

だが皆、過敏になり過ぎている。
家に鍵をかけなかった人が悪いのか、
家にドロボウに入った人が悪いのか、
そもそもどっちなんだ。

今、「個人の情報は隠すべきである」と曲解されている。
そうではないのだ。
皆「情報を漏らせば訴えられる」とビクビクしてる。
社会活動の多くの場面で「委縮現象」が起っているのだ。
公務員と大企業は気の毒なほどピリピリしてる。

面白いエピソードをもう一つ。

企業は、全社員に「健康診断」を受けさせる義務を有している。
そしてその費用は会社が持つ。
そして受診後「診断結果」が送られてくるのだが、
送り先が会社ではなく、社員個人へ送られてくるケースがあるのだ。
そう、『個人情報保護』の観点からである。

おかしな話だ。
会社は、社員から承諾を得なければ、
会社が費用負担した「健康診断」の結果を、
見れないと言うのだろうか。

この問題は、一時、世間でも大きく話題となった。
「会社が費用負担したからと言って会社が診断結果を見ていいはずがない」
と、胸を張るバカが現れたのだ。

結論は次の通りだ。

厚生労働省では、
「医療~略~個人情報の適切な取り扱いのためのガイドライン」
(平成16年12月24日発表)を発表し、
個人データの第三者提供の取り扱いとして、
「医療機関が~略~健康診断等を受託した場合、
その結果である個人データを委託元である当該事業者に対して
提供することについて、本人の同意が得られていると考える」
とある。

つまり会社は、社員の承諾なしでも「健康診断結果」を見られる。
となっている。
だが私は、そんな法解釈などどうでもいい。

「診断結果を会社に見せたくない」と言う社員には、
健康診断を受けさせない。
それだけのことだ。
法を盾に取り、自分の権利を高らかに主張するバカに、
会社は、福利厚生費を1円たりとも使わない。
それが例え違法であってもだ。

個人情報に過敏すぎる現代。
その法律は、法の精神などほど遠く、曲解され、濫用され、
個人の権利主張の「免罪符」となっている。

中小企業たちよ。
萎縮などするな。
思い切ったビジネスの大立ち回りには、
多少の「グレー」はつきモンだ。
大企業の行き過ぎたコンプラアインスこそ、毒なのだ。

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 社長 谷洋の独り言ブログ 日々是好日