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2010年10月号

vol. 043

世に生を得るは事を成すにあり

~あまりにも有名な「坂本龍馬」のこの言葉。これを座右の銘にしている人は多い~

幕末の志士「坂本龍馬」の、この有名な言葉で、
人生を変えてしまった人がいったいどれくらいいるだろうか。
かく言う私も、その一人である。

今年、久しぶりに「NHK大河ドラマ」にハマった人は多いはずだ。
毎週日曜日の「龍馬伝」が楽しみでならない。
ストーリー、キャスト、演出の素晴らしさはもちろんだが、
とりわけ、映像が美しい。
従来までの大河ドラマとはレベルが違う。
龍馬ファンとしては「よくぞここまで」と涙モノである。

さてその坂本龍馬だが、
彼の名前を知らない日本人は恐らくいないだろう。
また、歴史上、
多くの偉人がいる中でも、とりわけ人気が高く、
尊敬する人物ナンバーワンの座は、
ここ数十年、揺るがないだろうと推察する。

この人気、なぜなのだろう。

彼は、雲の上の権力者ではなく、
ごくごく市井の中の下級武士の一人ではあったのだが、
何より、その志たるや、とてつもなくデカい。
その志の下、
とても一介の脱藩浪士にはできない偉業を、
自身の「バイタリティー」だけで成し遂げていくのだが、
その魅力溢れる「人間力」こそが、
彼の人気の理由なのだろう。
彼には一片の私欲もなく、僅かな屈託もない。

そんな龍馬の生き方に大きな影響を受けたと語る、
政治家や経営者は少なくない。
私も龍馬との出会いが、
「人生を変えた瞬間」と言っても言い過ぎではないだろう。

私の場合、大学時代に、
司馬遼太郎の「竜馬がゆく」を初めて読んだのだが、
この時、
生涯、消すことのできないショックを受けたのを覚えている。
自分の人生に、大きな影響を与えたのがこの本だった。

それから30余年、
私自身「竜馬がゆく」を読み返す機会も多いのだが、
「こいつだ」という若者を見つけたら、
余計なお世話も省みず、
その若者に「竜馬がゆく(全8巻)」をいきなり贈るのだ。

贈られた方は迷惑な話だろう。
そして、読み終えた若者が、
予想を外すことなく、フツフツと感銘を受けている姿を見、
私は「よしよし」と胸を撫で下ろしている。
かなり趣味が悪い。

さて今回、このブログ。
意図は極めて明瞭である。

みんなに「竜馬がゆく」を読んでもらいたい。
それだけである。
心の中に「元気」が灯るのだ。

今の日本を元気にするには、
どんな公共投資より、どんな優遇税制よりも、
総国民、みんなで「竜馬がゆく」を読むってのはどうだろう?

日本の未来を正しく導くならば、
道徳の時間をどんなに増やすより、体罰がいるかいらぬか議論するよりも、
国語の時間に、
みんなで「竜馬がゆく」を読むってのはどうだろう?

元気のない日本に、
何よりのカンフル剤となるはずだ。

坂本龍馬は、31歳という若さで天寿をまっとうしている。

もし彼が暗殺を免れ、
長く生きて「明治新政府」に入って働いていれば、
いよいよ老獪な年齢にも差し掛かり、
彼の魅力は少し失せていたかもしれない。

150年後、
彼が多くの若者に影響を与える人物になったことを見れば、
彼が魅力ある年齢までしか生き得なかったこと自体、
天の思し召しであるとしか思えない。

龍馬の場合、
世に生を得たのは、
彼の言の通り、
事を成すためだけにあったのだろう。

そして誰もが、
そうあるべきだと思いたい。

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 社長 谷洋の独り言ブログ 日々是好日