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2009年2月号

vol. 023

カップヌードルの自動販売機

~カップヌードルは誰を狙った商品だったのか。深謀遠慮の日清食品の戦略とは~

恐らく40歳以上の方は見たことがあるはずだ。
昔々、カップヌードルの調理機能付きの自動販売機があったのを覚えているだろうか。
これこそが、現代マーケティングの最先端戦略なのである。

今、世に溢れるカップラーメン。
世界で年間500億杯も食べられている。
このカップラーメンの第一号が「日清食品のカップヌードル」である。

ところがこのカップヌードル。
売り出した当初は、ある特定の消費者だけを狙って作られた商品だった。
若い男性だ。
それも15歳から25歳までの限られた年齢層にターゲットを絞っていた。

受験勉強の夜食や、一人住まいの男性が主な購買層だが、
そのターゲットの中に
「夜中に街を徘徊する若い男性」という定義があった。

それまで即席の食べ物と言えばチキンラーメンがあった。
しかしチキンラーメンを食べるには器(ドンブリ)が必要だ。
それに熱湯がなければ食べられない。
外で食べることはできない。
面倒クサイことを嫌がる若い男性が、外で食べられる夜食を作れないだろうか?
日清食品はそこを狙った。
だから、調理(給湯装置)機能付き自動販売機なのだ。
熱々のカップラーメンを作ってくれる自動販売機など、
この以前も、この以後も見たことがない。

夜中に友人達と屯(たむろ)し、すぐにお腹を空かせる若い男達。
当時はコンビニエンスストアなどなかった時代だ。
器がそのままドンブリとなり、
熱湯を注いでくれるカップヌードルの自動販売機は、
まさに「男の子の夜のオアシス」となった。

カップヌードルは今でも脂っこく塩辛い。
これは汗っかきの若い男の子の好む味だ。
今でも、カップヌードルのコマーシャルは若い男の子が主人公だ。
これらが、当時の日清食品の戦略を裏付ける。

このカップヌードルの成功から次々とカップ麺が売り出された。
調理の要らないカップ麺は、
主婦のお昼ご飯にも受け入れられ、
今では自治体が災害時の非常食にも指定し、
とうとう国民食としての位置を得ることとなる。

このように、
ある特定の購買層だけを狙い、まず熱烈なファンを作り、
そこを糸口として購買面積を増やしていく戦略を、
「マーケットセグメンテーション戦略」という。

「そんな小さな購買層を狙っても…」
と思われるかもしれないが、
もはや1億2千万の全ての国民に受け入れられる商品など存在しない。
戦後からの20年は、
とにかく全国民が同じものを買った「モノの無い時代」だったのだが、
飽食の時代を迎えた今、
すべての消費者に同じ商品を売ることは不可能と言われる。

であれば、消費者をいくつかに分類(セグメント)し、
特定の層に特定の商品を売り込み、
その突破口から購買層を増やしていこうとする考え方が生まれた。
身近な例をご紹介しよう。

子供服のミキハウスは、
「18歳から24歳までのヤングママ」を狙った。
28歳のお母さんには買ってもらわなくても構わない。
あくまで18歳から24歳にこだわる。
この層は、自分の子供を「アクセサリー」とする感覚を持っている。
だからあの奇抜な色合いのトレーナーが受けるのである。

だがこの18歳から24歳のヤングママは、年々歳を取っていく。
そして35歳になった時にも、ミキハウスを違和感なく着こなすのだ。
いつの間にかミキハウスは、
全ての年齢に受け入れられるナショナルブランドになっていく。
恐るべき長期戦略だ。

特定購買層の圧倒的シェアだけを狙う戦略も存在する。

集英社の雑誌「セブンティーン」は、
ティーンエイジの女の子のファッションに特化した情報誌だが、
誌名のセブンティーンは購読者の年齢が13歳から19歳までの「7つのティーン」を指す。
22歳の女性など狙ってはいない。
それでも女性ティーンズ雑誌の中では首位の座は明け渡さない。

「ヴァンサンカン」はフランス語で25歳の意味。
文字通り、25歳のセレブなOLを狙った雑誌だ。
セレブじゃないOLには買ってもらわなくてもいい。

「ひよこクラブ」は、
0歳から1歳半までの赤ちゃんを持つママのための雑誌だ。
こんなレアな市場は、
日本の全人口のいったい何%なのだろう。
しかし徹底的にその層を狙い、
確実に購買者をゲットする戦略なのである。

さて、私がりんくる社を立ち上げた時、
自社の商品である「e-コンシェルジュサービス」を、
ある特定の属性を持つ市場にターゲットを絞ったことがある。
「マーケットセグメンテーション戦略」を実践しようとしたものだ。
が、まだその顕著な成果は見られない。

絞ったセグメントが間違っているとは思わない。
そのセグメントへの訴求ができていないことが原因なのである。
悩みは尽きない。
今、どうすれば「その市場に訴求ができるのか」
というプロモーション面でのテーマが目の前にある。

我々は「e-コンシェルジュサービス」の販売機を
どこに据えるべきなのだろう。

いつの間にか、カップヌードルの自動販売機は姿を消した。
コンビニが街角に登場したからだ。
しかし、すでに国民食になったカップヌードルは、
もはや、自動販売機など必要としないだろうが。

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 社長 谷洋の独り言ブログ